昔、ヘリコプターから焼骨を粉状にして撒いてしまうテレビCMがあった。空から撒いた散骨である。同じように船から撒く海に散骨するという弔いもある。山中での散骨というのは、さらに綿々と将来にわたって続くものとなる。穴を掘って散骨し、太い木を植えたりするらしいのだ。植物が育ち続けることで弔いは、続くのである。墓が建っているよりさらに木が立っているというのは、日々に溶け込んでおり、何気ない場面場面において死した人々を木々の風に揺れるサマに見いだすこととなる。土に穴を掘り散骨することで焼骨は埋蔵したことになり、空や海に撒いた時とは様相がかなり違う。空や海に散骨するなどということは、死して地に降り立つまいと決め込んででもいないとできないことだ。国としてはブータンの風習である。日本人では、沢村貞子、横山やすしなど有名人が多数散骨により弔われている。ウィキペディアに記された面々は、フェイクのようであるが自然や樹木による葬いに傾倒する自然崇拝だろう。